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音声感情解析

音声感情解析で数量詐欺を検出する海外医療機関事例

2025.04.04

海外活用事例

海外事例 《医療機関での不正申告の検出》

当社の提携先であるイスラエルのネメシスコ社で不正防止エキスパートをしているMauro.N氏の記事により、海外の医療機関で、処方した薬や医療材料の量、処方を過大に記載して保険会社に不正請求する事案を検出するソリューションをご紹介します。

 

Quantity Fraud(数量詐欺)医療機関の不正

多くの国では診療報酬は保険会社が病院に支払います。患者に対して医療処置内容を決めるのは病院であり、その病院は患者が加入している医療保険会社に対して診療報酬の請求を行い、支払いを受けます。日本では病院の請求先は保険会社では無く、準公的な社会保険診療報酬支払基金や国民健康保険団体連合会などの審査支払機関となります。

ここで問題となっているのが、診療した病院が保険会社に対して不正請求を行うケースです。処方した薬や医療材料の量、処方を過大に記載して保険会社に不正請求する事案でQuantity Fraud(数量詐欺)と言われます。不正請求により保険会社は不当に過大な診療報酬を病院に支払わなければならず金銭的な被害を受けます。この不正の悪質性は患者に被害が及ぶことです。患者に対して実際に処方した薬剤の種類や量と保険会社に請求した内容が異なっているのでは無く、実際に患者に不必要に高額な薬剤を投与したり、薬は2錠で十分なのに3錠投与するなど、まさに医療詐欺の行為です。

音声感情解析による不正の検出

Quantity Fraud(数量詐欺)のような詐欺的な行動を検出する方法として、Mauro.N氏はそのブログで述べています。これは音声周波数領域での発声バイオマーカーの解析により不正申告と不規則的感情を検出し、数量詐欺の兆候を識別する有益な知見を与えます。

 

このシステムは次のように動作します。

    1. 保険会社は医療機関から診療報酬支払の請求が来ると、担当者がシステムに請求書類を書いた医師の携帯電話番号と、請求事案のタイプ(事故、病気の種類、等)を入力します。
    2. システムは自動的にその医師にWhatsApp(日本で使われるLINEとほぼ同じ)で電話します。
    3. その電話で、システムが事案のタイプ別にあらかじめ用意された質問を医師に行います。(この質問は過去の診療報酬請求事案から作り出されたもので過去のノウハウが詰まっているようです。もしも医師が不正を働いているなら感情的な動揺を引き起こすような質問をシステムが生成して投げかけます。)
    4. 肝心なことは、この質問に対して声で医師から回答してもらうことです。回答音声は通話記録として録音されます。
    5. 得られた音声録音は人手を介することなく、システムが自動的ほんの数秒で解析します。システムはその音声から感情解析を行い、答えた医師がストレスを感じているか、感情的な不規則さを内包しているかなど、数量詐欺の可能性のある兆候を検出します。
    6. もし、その兆候が検出されれば、その請求にアラームフラグを立てて、詳細な調査を専門家が行います。もし兆候がなければ、支払い手続きにそのまま移行します。

 

 

 

 

このように高度な音声感情解析技術を保険会社に詐欺行為撲滅のための強力なツールを提供します。声を解析してストレスや感情のパターンを検出し、不正検出プロセスを合理化する機能により、保険会社は効率性、正確性、そして不正行為に対する対処力を高めることができます。音声感情解析を活用することで、保険会社は患者さんのために適切で必要な医療を確保しながら、数量詐欺を効果的に特定し、業務を保護し、保険業界の健全性を維持することができます。


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